Publickeyの視点2012年秋。ネットワーク技術は「Software-Defined Network」「イーサネットファブリック」「マーチャントシリコン」に注目

2012年10月12日

クラウドの領域では、昨年までサーバ仮想化やストレージの仮想化はホットなテーマでしたが、いまクラウドでいちばんホットなテーマは、やはりSoftware-Defined Networkをはじめとするネットワークの新技術でしょう。ネットワーク業界は、およそ20年前にイーサネットとTCP/IPが普及し初めて以来、最も大きな変化のときを迎えようとしています。

その変化を引き起こしているのがSoftware-Defined Networkと、それを実現する技術の1つであるOpenFlowですが、それに加えて「イーサネットファブリック」という新しいイーサネット技術、そして「マーチャントシリコン」によってベンダの勢力図も変わっていく可能性があります。

いまPublickeyがネットワーク領域で注目するこの3つのキーワードを紹介します。

Software-Defined Networkが引き起こす変化はこれから

Software-Defined Networkを実現するOpenFlowの登場によって、ネットワーク機器に標準化の流れが押し寄せてきています。

これまでネットワーク機器はベンダごとにハードもソフトも異なっており、操作方法も管理方法も違っていました。ユーザーは容易にネットワーク機器ベンダに囲い込まれてしまう構造になっていたのです。

OpenFlowはさまざまな可能性を秘めた技術ですが、その大きな特徴の1つが、OpenFlowを採用した機器は標準のインターフェイスを持つために、ベンダーによる囲い込みが難しくなる効果があるという点です。

ネットワーク業界最大手の立場を築いてきたシスコは、自社の立場を危うくしかねないOpenFlowの採用には消極的で、別のSoftware-Defined Networkソリューションを模索しています。一方でブロケードやヒューレット・パッカードといったシスコを攻める側のベンダはOpenFlowに積極的に取り組み普及させることでシスコを追い詰めようとしている、という状況が生まれています。

また、OpenFlowはまだ登場して間もない技術であるため、実績はまだ少なく、採用によってユーザーにどのような価値をもたらすのかについても評価は定まっていません。

果たして業界最大手のシスコはOpenFlowに対してどのような手を打ってくるのか、それによって業界はどのような影響を受けるのか。またOpenFlowがこれからデータセンター事業者やエンドユーザーにどのような受け入れた方をしていくのか。Publickeyではそのあたりに注目しています。

イーサネットは新しくイーサネットファブリックになる

ネットワークの物理層として普及しているイーサネットにも注目すべき変化が起きています。それが「イーサネットファブリック」です。

これまでのイーサネットはツリー構造のトポロジにしなければいけないという制約がありましたが、ファブリックではその制約がなくなり、網の目状のトポロジを可能にします。これによってイーサネットの冗長性、帯域幅、効率性が大きく改善するのです。

ファブリックはクラウド時代のデータセンターにとって欠かせない、非常に優れた技術なのですが、いまのところSPBとTrillという2つの異なった標準があります。そしてファブリックのメリットをフルに享受しようとすると、事実上特定のベンダの機器で統一しなければならないのが現状です。

ファブリックが次世代データセンターのネットワークになることは間違いありません。その標準化はこれからどうなるのか、どのように普及していくのかに注目しています。

マーチャントシリコンでネットワーク機器が汎用化

クラウドを支える中心的存在である大量のコモディティサーバ。どのサーバベンダからサーバを調達しても、中身はほぼ同じx86プロセッサとチップセットでできています。標準的な部品を使って大量生産されるおかげで、低価格化と高性能化が急速に進んだといえます。

実は、ネットワーク機器の市場でも同じことが起きています。ネットワーク業界では、このネットワーク機器向けの汎用チップセットを「マーチャントシリコン」と呼んでおり、いまやデータセンター向けの低価格スイッチの中身は、シスコ、ジュニパー、ヒューレット・パッカード、ブロケード、IBM、Aristaなど、どのネットワーク機器ベンダであっても同じようにブロードコムが販売するマーチャントシリコン、すなわちネットワーク機器向けのチップセットが組み込まれています。

まだ主要なネットワーク機器ベンダは、マーチャントシリコンと自社開発製品を使い分けて製品化をしており、x86サーバがマーケットの主役であるサーバ市場ほどマーチャントシリコンの存在感は大きくありません。

x86サーバの登場と急速な高性能化、低価格化とクラウドの登場によって、サーバ市場の主役がすっかりx86サーバになったように、マーチャントシリコンの動向はこれからのネットワーク市場の動向に大きな影響を与える可能性があります。

さまざまな技術動向、市場動向を分かりやすく切り取って取材するには、テーマ設定が重要となります。Publickeyではネットワーク技術や市場動向を、これらのテーマに注目して取材をしています。ネットワーク以外の分野、例えばストレージやWeb標準など領域ごとにまた異なる注目テーマがありますので、それらについてはまた別の機会に紹介するつもりです。

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カテゴリ サーバ / ストレージ / ネットワーク
タグ  Brocade , Cisco , HPE , OpenFlow , Software-Defined Network , ネットワーク


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