クラウドはSIerのビジネスにどんな影響を与え、SIerはどうするべきなのか? 情報サービス産業協会がレポートを公開

2011年8月23日

国内の主要なシステムインテグレータやソフトウェア開発企業で構成する一般社団法人 情報サービス産業協会は、クラウドがシステム開発などの情報サービス事業に与える影響や課題を整理したレポート「クラウドコンピューティングが情報サービス事業者に与える影響とビジネス拡大に向けての提言」(PDF)を、公開しました。

JISA、「クラウドコンピューティングが情報サービス事業者に与える影響とビジネス拡大に向けての提言」を公表

本レポートは、システムインテグレータやソフトウェア開発企業の立場からクラウドによるビジネスの影響を分析し、それに対応したビジネスモデルを提案している点が特徴です。

クラウドの登場などによる「所有から利用へ」の流れは、サーバなどハードウェアの販売や開発案件の減少など、システムインテグレータが依拠してきたビジネスモデルをおびやかそうとしています。その現状分析と今後の対応策をシステムインテグレータ自身がどう考えているのか、このレポートから垣間見ることができます。

新たな4つのビジネスモデルを提言

クラウドコンピューティングが情報サービス事業者に与える影響とビジネス拡大に向けての提言(PDF)

レポートは「第一章 本調査の目的」「第二章 クラウドコンピューティングの定義」「第三章 利用者がクラウドに期待すること」「第四章 クラウドコンピューティング利用事例」「第五章 情報サービス事業者がクラウドを利用することで得られる効果と影響」「第六章 利用事例を通じて得られたクラウド利用・提供にあたっての課題」「第7章 クラウドで実現される新しいビジネスモデル」の8章で構成されています。

第一章では、システムインテグレーションの分野でクラウドを要因とした売り上げの落ち込みを紹介。

2010年9月のIDC Japanの調査によると、国内ITサービス市場は、2009年 3.9%、2010年 1.3%と2年連続で前年比マイナス成長である。特にシステムインテグレーション分野の落ち込みは激しく、2009年 ▲9.3%、2010年 ▲4.7%となっている。2011年以後、プラス成長が予測されているとはいえ、会員企業会社にとっては新たなビジネスモデルへの転換が急務となってきている。

(略)

情報化投資が減少している一つの要因として、クラウドコンピューティングの利用が考えられている。

第三章では、レポートを作成したワークグループによるアンケート結果として、利用者がクラウドに期待することは何であるのが紹介されています。その主な結果は以下のようになっていました(一部抜粋)。

コスト削減、開発期間の短縮、運用の簡素化などの期待があることが分かります。

そして第七章で語られているのが、クラウドを背景にシステムインテグレータやソフトウェア開発企業はどのような新しいビジネスモデルが展開できるのか、です。おもに4つのモデルが提案されています。表7-1を引用します。

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「インテグレーションモデル」は、クラウドとオンプレミス、もしくは複数のクラウドのインテグレーションを行うビジネス。

「サービス連携モデル」は、サービスの連携を提供するモデル。説明を引用します。

サービス連携モデルでは、複数のサービス提供者から相互に疎結合な複数のサービスが 提供される。サービス利用者はそれらを適切に組み合わせて利用するか、または、別のサービスを組み合わせて他のサービス利用者に提供する。サービス提供者とサービス利用者との間に立って仲介したり、独自の処理を付加したりする役割を果たす者(ブローカーという)も存在する。

システムインテグレータは、コンサルティングやサービスの開発や連携の構築、ブローカーなどのビジネスモデルが考えられるとしています。

「パートナー連携モデル」は、IT産業の現在の構造である顧客従属型からのパートナー型への変化、また、多重下請け構造から水平分散構造への変化に伴うものだと説明されています。特徴として以下の3つが挙げられています。

「漸進的サービス提供モデル」は、次のように説明されています。

インテグレータは、グローバル化への対応、きめ細かなサービスを提供するクラウドコンピューティングを活かした、速やかなリリースができるビジネスモデルを選択できる。 このビジネスモデルを本節では、漸進的サービス提供モデルと呼ぶこととする。

漸進的サービス提供モデルとは、新興国のスピードにあわせ、必要な機能の情報システムを短期間、かつ段階的に逐次リリースし、クラウドサービスで提供するモデルである。コア部分の機能は、国内において少人数の優秀な技術者で構築することが必要である。

労働集約型モデルからの脱却を目指して

第七章の最後には、クラウドに対応することで「労働集約型のビジネスモデルから脱却し、知識集約型の新しいビジネスに転換できる可能性がある」とまとめてあります。そのためのヒントがこのレポートには多く記されていると思いますので、多くの関連した企業の方々に一読をおすすめします。

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