相次ぐクラウドの大規模障害のあとで考える、これからのクラウド

2011年6月8日

4月にはAmazonクラウドの米国東リージョンの一部でクラウドの障害が発生し、5月にはNTT PCコミュニケーションズのクラウドサービス「Cloud9」が障害を起こしました。

Amazonクラウドの障害では、その上で動作していたFoursquare、Quora、Herokuなどこれまでにないほど広範囲のサービスに影響があり、またNTT PCコミュニケーションズのCloud9は障害を起こしたままサービスの復旧はならず、同社のクラウドサービスそのものが停止に追い込まれるという事態になりました。

これまでにないほどの規模の障害を経てこれからのクラウドがどう変化していくのか、少し思うところを書いておこうと思います。

ストレージ技術の発展に焦点が当たる

2つの大規模障害ともに、原因はストレージでした。大規模なストレージをうまく扱うことは、いまだにクラウドにとって難しい課題であることが分かります。実際のところ、クラウドを構成する技術の中でサーバ仮想化については技術がそれなりに成熟してきており、オープンソースでもさまざまな実装が登場してきていますが、それにふさわしいストレージ仮想化の技術はまだ発展途上といえます。

今後、クラウドに向けたストレージのスケーラビリティ、柔軟性、可用性、そしてそれらを低コストで実現するためのさまざまな(運用も含めた)技術に、今以上に焦点があたっていくことになるでしょう。

複数の地域で展開できる規模のクラウドベンダだけが生き残る

Amazonクラウドの今回の障害は米国東リージョンの一部に発生しましたが、それ以外の米国のリージョン、あるいはヨーロッパやシンガポールや東京といったところにはまったく影響していません。

一方、NTT PCコミュニケーションズはおそらく1カ所のデータセンターのみでクラウドサービスを提供していたと想定されます。そのため、そこでの障害が致命傷となってクラウドサービス事業そのものが停止してしまいました。

クラウドを利用する立場からすれば、1カ所のデータセンターに障害が起きただけで、クラウドベンダのサービスが停止してしまうのでは、あまりに脆弱すぎます。特に国内では現在、東京電力や東北電力以外のエリアにデータセンターが設置されていることが注目されているように、今後は地理的に複数の場所でデータセンターを展開できる規模のクラウドベンダだけが、本当のクラウドベンダとして生き残ることができるでしょう。

クラウドベンダは広がり、そして収れんしていく

少し前まで、クラウドに参入できたのは自社でクラウド基盤を開発する能力を備えた大企業、Amazonやグーグルやマイクロソフトやセールスフォース・ドットコムといった企業だけでした。

しかし最近では、クラウド基盤のソフトウェアをVMwareやマイクロソフトが商用ソフトウェアとして本格的に販売を始め、またOpenStackやCloudStackのようなオープンソースソフトウェアも登場したことで、クラウド基盤のソフトウェアは調達できるようになりました。

自社でクラウドを開発できなくとも、お金で買えるようになったのです。

もちろん金さえ出せばクラウドに参入できるほど容易ではなく、泥臭い運用をこなせるノウハウや体力なども要求されますが、それでもクラウド事業への参入はぐっと低くなりました。これから多くのホスティング業者、レンタルサーバ事業者、データセンター事業者がどんどんクラウド事業へ参入をしてくることでしょう。

しかしこの先を数年のスパンで見て、結局は複数の地域に分散したデータセンターを展開できる規模を備えたクラウドベンダだけが生き残れると考えると、そこに向かって中小のクラウドベンダは徐々に淘汰、あるいは合併吸収されていくと予想されます(まるでかつて、草の根プロバイダがたくさん登場し、そして淘汰されていったように)。

あるいは、VMwareがvCloudで構想し、マイクロソフトがWindows Azure Applianceで目論んでいるような、グローバルに互換性を持つ大きなクラウドシステムの一部となっていく、という道もあるかもしれません。

ただしこれはIaaSを想定したクラウドベンダの話です。いまAmazonクラウドの上に多くのPaaSベンダが登場しているように、収れんしていくIaaSベンダとは逆にPaaSはしばらくのあいだ、大小取り混ぜたさまざまなPaaS/SaaSベンダが登場してくるように思います。その話はまたいずれ書きたいと思います。

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タグ : Amazon , クラウド



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