IBMがOpenJDKの開発をオラクルと共同で進めると発表

2010年10月13日

IBMとオラクルは、Javaプラットフォームのオープンソース実装であるOpenJDK(Open Java Development Kit)の開発を共同で進めることを発表しました

IBM Press room - 2010-10-11 Oracle and IBM Collaborate to Accelerate Java Innovation Through OpenJDK - United States

OpenJDKはサン・マイクロシステムズが中心となって開発してきたもので、同社がオラクルに買収された後はオラクルがそれを引き継いでいました。

IBMはそれとは別に、The Apache FoundationによるオープンソースなJava実装であるApache Harmonyに肩入れをしてきました。

しかし今回の発表で、両社は協力してOpenJDKの開発に注力することが明記されています。

Oracle and IBM will support the recently announced OpenJDK development roadmap, which accelerates the availability of Java SE across the open source community.

IBMソフトウェアグループOpen Systems and LinuxのVice PresidentであるRobert Sutor氏は、自身のブログにポストしたエントリ「IBM joins the OpenJDK community, will help unify open source Java efforts」で次のように書いています。

IBM will be shifting its development effort from the Apache Project Harmony to OpenJDK.

IBMはこれからの開発努力を、Apache HarmonyからOpenJDKへシフトするつもりだ。

IBMはHarmonyからOpenJDKに乗り換え

IBMがApache Harmonyに肩入れしていた理由は、OpenJDKのライセンスがGPLであるため、ApacheライセンスのJava実装が欲しかったからだといわれています。しかし、サン・マイクロシステムズ、後のオラクルが提供するJava技術互換性検証キット(JCK:Java Comatibility Kit)のライセンス上の制限をめぐってのトラブルにより、互換性の確認などができない状態でした。

IBMのSutor氏はこうした状況の中でIBMがOpenJDKの開発でオラクルと協力することは現実的な選択肢だったと書いています。

We think this is the pragmatic choice. It became clear to us that first Sun and then Oracle were never planning to make the important test and certification tests for Java, the Java SE TCK, available to Apache. We disagreed with this choice, but it was not ours to make. So rather than continue to drive Harmony as an unofficial and uncertified Java effort, we decided to shift direction and put our efforts into OpenJDK.

私たちはこれが現実的な選択だったと考えています。サン、後のオラクルは、Javaの重要なテストと検証のためのJava SE TCKをApacheで利用可能にしようとはしませんでした。私たちはその選択を間違いだとは思っていますが、それは私たちがどうこうできるものではありません。そこで、オフィシャルでなく検証もされていないHarmonyをこれからも推進するより、OpenJDKを推進することを選んだのです。

JDK7は来年、JDK8は再来年

JDKのロードマップは、先日の記事「JDK 7は2011年中旬に決定。ただしクロージャはなし。2012年にJDK 8」で紹介したように、JavaOne後にPlan Bを選択して次のようになりました。

オラクルでJava Platformの製品戦略を担当するHenrik Ståh氏のブログにポストされたエントリ「Java Roadmap from JavaOne 2010」から引用しましょう。

JDK 7 - Mid 2011 - JSR TBD

  • Support for dynamically-typed languages - InvokeDynamic (JSR 292)
  • Small language enhancements - Project Coin (JSR TBD)
  • Updated class loader architecture
  • Method to close a URLClassLoader
  • Concurrency and collections updates
  • Unicode 6.0
  • Locale enhancement - Support for IETF BCP 47 and UTR 35
  • More new I/O APIs for the Java platform - NIO.2 (JSR 203)
  • TLS 1.2
  • Elliptic-curve cryptography (ECC)
  • JDBC 4.1
  • New platform APIs for 6u10 graphics features
  • Swing Nimbus look-and-feel
  • Swing JLayer component
  • Updated XML stack

JDK 8 - Late 2012 - JSR TBD

  • Module system and modularization (JSR TBD, JSR 294)
  • Closures - Project Lambda (JSR TBD)
  • Annotations on Java types (JSR 308)
  • Language support for collections - Project Coin, part 2 (JSR TBD)

IBMとオラクルは、このロードマップに沿ってこれからのJDKの開発に取り組むことになります。

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