IBM DB2の新クラスタは、Oracle RACと同じ「シェアードディスク・アーキテクチャ」採用

2009年10月15日

IBM Press room - 2009-10-09 IBM pureScale Technology Redefines Transaction Processing Economics - United States

データベースを複数サーバからなるクラスタ構成にすることで性能向上をはかるスケールアウトのアーキテクチャには、大きく分けて「シェアードディスク・アーキテクチャ」と「シェアードナッシング・アーキテクチャ」の2つの方式があります。

シェアードディスク・アーキテクチャでは、複数のサーバが1つのディスクを共有するため高可用性を実現しやすい一方、サーバ間でデータ整合性のための情報を共有する必要があり、サーバが増えるごとに情報共有のオーバーヘッドが大きくなるという課題を抱えています。

シェアードナッシング・アーキテクチャではサーバ間の情報共有が不要でスケーラビリティに優れる一方で、データベースを分割して個々のサーバに最適に配分することが難しく、いちど決めた配分を動的に変更することも容易ではないという課題があります。

このように2つのアーキテクチャは、どちらも利点欠点を抱えています。そして、オラクルはOracle RACでシェアードディスク・アーキテクチャを採用し、IBMとマイクロソフトはDB2とSQL Serverでシェアードナッシング・アーキテクチャを採用して、それぞれのクラスタ製品に磨きをかけていました。

ところが、米IBMはIBM DB2の新しいオプションとして、シェアードディスク・アーキテクチャを採用した「IBM DB2 pureScale」を10月9日に発表しました。IBMはリリースの中で次のように述べています。

The design of pureScale, based on the architecture and 15 years of proven experience of DB2 on System z, reflects the strengths of IBM software technology optimized for Power Systems.

pureScaleのデザインには、15年にわたるSystem z(メインフレーム)上でのDB2の経験とPower Systemに最適化されたIBMソフトウェアの強さが反映されています。

DB2 pureScaleは同社のPower System上で稼働。100台以上のサーバをクラスタ構成にした場合でも、全サーバ性能の80%を引き出せるとし、競合製品は60%以下であると暗にOracle RACを引き合いに出してその優位性をリリースで明らかにしています。

また、64台のサーバからなるクラスタ構成では全サーバ性能の90%を発揮するとしており、シェアードディスク・アーキテクチャの課題であるサーバ数の増加による効率の低下を克服していることもアピールしました。

IBMによるとDB2 pureScaleは既存のアプリケーションを変更することなく利用可能。また、OracleのPL/SQLもネイティブサポートしているためOracleからの移行もコードの変更なしか、もしくは最小限のコード変更で可能だとしています。

オラクルがサンを買収した裏にはIBMあり?

IBMのDB2は、PL/SQLのサポート、そしてシェアードディスク・アーキテクチャの採用と、積極的にOracleとの互換性を高め、その顧客を奪い取る戦略を進めてきたようです。

と同時にDB2 pureScaleでは、Power SystemのハードウェアとOSの技術によって、シェアードディスク・アーキテクチャの欠点であるサーバ間の情報共有のオーバーヘッドを高速なサーバ間コネクトとOSの支援機能によって補うことで高い性能を発揮していると想像されます。つまり、ソフトウェアとハードウェアを同一ベンダが提供する利点を活かしたシステムといえるでしょう。

こうしたIBMの戦略にオラクルが対抗するもっともシンプルな方法は、IBMと同様にソフトウェアとハードウェアの両方を提供する企業になることでしょう。ラリー・エリソン氏がサン・マイクロシステムズの買収に乗り出し、そしていままでになくIBMに攻撃的な姿勢を見せる裏には、こうしたIBMの戦略が大きな理由としてあるのかもしれません。

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タグ : IBM , Oracle , リレーショナルデータベース



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