Google AppsにとってOutlook連携はキラーアプリになる。グーグルとマイクロソフトが企業市場で本格対決へ

2009年6月11日

米グーグルがOutlookとGoogle Appsの同期ツール「Google Apps Sync for Microsoft Outlook」 をリリースしたと昨日一斉に報じられました。

Exchangeサーバが不要に:Google、Microsoft OutlookとGoogle Appsの同期ツールをリリース - ITmedia

メール/メッセージングのアウトソースは、多くの企業がSaaSを利用する最初の一歩であり、SaaSのマーケットの中でも大きな比重を持ちます。それゆえに、グーグル以外にも、マイクロソフトはMicrosoft Online Services(レビュー記事)、IBMはLotusLive(レビュー記事)と、各社のフラッグシップともいえるサービスが競合する分野でもあります。

しかしユーザー企業にとって、メール/メッセージングのアウトソースは考えているほど簡単ではないことも多いようです。

メールクライアントの切り替えは難しい

メール/メッセージングのアウトソースの難しさは、技術的な移行の面倒さよりも、メールクライアントが社員個人の生産性に非常に大きく関わっているツールだという点にあります。PCを利用している時間のうち最も多くの時間をメールに割いているビジネスマンは多く、各人ごとにいかに生産性をあげるかというノウハウがメールクライアントを基盤に個別に蓄積されいています。

ですから、いくら企業にとって「コストが安そうだ」といった理由でメール/メッセージングを切り替えたくとも、それによって既存のメールクライアントが使えなくなるとすれば、生産性の高さをメールクライアントを基盤に維持してきた社員にとってはたまったものではありません。そこで切り替えには、社員個々からの強い反発が当然予想されます。

それだけでなく、実は既存のメールやメッセージングに依存した非公認のメーリングリストやワークフローによって維持されている業務というのはどの会社にも根をはりめぐらせているもので、切り替え検討時にそういうものが表面化すると「切り替え後はこの業務はどう進めればいいのだ」「代わりのシステムはどうすればいいのか」といった思わぬ抵抗に遭遇することもあります。

まとめて言ってしまえば、多くの社員が関わるシステムの切り替えにかかる最大のコストは、社員の再教育コストだ、ということになるわけです。

グーグル、Outlookを使い続けられるツールで解決

グーグルはこうした問題を認識していて、その解決策として出してきたのが、OutlookとGoogle Appsの同期ツール「Google Apps Sync for Microsoft Outlook」(以下Google Apps Sync)なのでしょう。

Google Apps Syncは、Outlookはそのまま使い続けながらExchange ServerをGoogle Appsへと置き換え可能なツールです。メールはもちろん、コンタクトリストもカレンダーもGoogle Appsと同期、連携しますのでOutlookの使い勝手はそのままです。

これで、メール/メッセージングをGoogle Appsに切り替える際の大きな障害であった「Outlookクライアントを捨ててWebメールへ切り替えなければならない」という点を見事にクリアすることにグーグルは成功したといえます。

OutlookとExchange Serverの組み合わせは企業向けのメッセージングシステムとして高いシェアを持ちます。そしてグーグルはGoogle App Syncという、このシェアに切り込むキラーアプリを手にしました。

また、コンピューターワールドの記事では「今後1年間でGoogle Docsは劇的に進化」するとして、Microsoft Officeのリプレースに本格的に取り組むことも宣言しています。

これまで企業市場はグーグルにとって慎重に攻略してきた印象ですが、今年は一気にマイクロソフトの市場を狙い撃ちする年になりそうです。

以下がGoogle Apps Sync for Microsoft Outlookの機能を説明した3分ほどのビデオです。

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