レッドハットも「メタクラウドAPI」に参入。クラウドAPIの競争が燃え上がる

2009年9月 8日はてなブックマーク del.icio.us Twitter
Deltacloud | Many Clouds. One API. No Problem.

レッドハットが、先週行われた同社のイベント「Red Hat Summit」で同社の新しいプロジェクト「δ-cloud」(デルタクラウド)を発表しました。

δ-cloudは、Amazon EC2、RackSpace、VMware ESX、そしてRed Hat Enterprise Linuxに内蔵されたKVMなどのさまざまな「クラウドの基盤となっている仮想マシン」をREST形式の共通APIを用いて管理することを目指しています。

いわばメタクラウドAPIを作ることが目標といえるでしょう。

レッドハットのCTOであるBrian Stevens氏は、δ-cloudの発表に触れた同社のブログエントリ「Introducing Deltacloud」で次のように書いています。

Today each infrastructure-as-a-service cloud presents a unique API that developers and ISVs need to write to in order to consume the cloud service. The deltacloud effort is creating a common, REST-based API, such that developers can write once and manage anywhere.

今日、IaaS(インフラストラクチャ・アズ・ア・サービス)クラウドは、デベロッパやISVがクラウドを活用するためにそれぞれ個別のAPIを用意している。デルタクラウドは、デベロッパーが一度記述すればそれがどのサービスでも利用できるような共通のRESTベースAPIを目指している。

そしてレッドハットの狙いは、もちろんこのAPIがパブリッククラウドだけではなく、プライベートクラウドでも使われることです。

The goal is simple. To enable an ecosystem of developers, tools, scripts, and applications which can interoperate across the public and private clouds.

顧客が社外のクラウドを利用すると同時に、社内のサーバリソースも利用したいとき、それぞれ異なるAPIで操作するのでは不便ですし、(実際にそのような利用を顧客がしないとしても)どのクラウドでも共通のAPIで操作できる製品とそうでない製品があったとしたら、顧客は恐らく共通のAPIを備えた製品を選ぶことでしょう。

そのため、IaaSを提供するクラウドベンダ、そしてプライベートクラウド市場へと進出したい仮想化製品などを抱えたベンダの多くが、「どのクラウドでも操作できる共通API」の開発に乗り出しています。

そして実はレッドハットは、どちらかといえばこの分野に遅れて参入してきたプレイヤーです。

パブリックとプライベートのクラウドを誰が共通化するか?

最初にクラウド間の相互運用性に注目し、それを実現するために目立った活動を始めたのは「Open Cloud Manifesto」でしょう。相互運用性に向けたドキュメントの作成などを行っています。

メタクラウドAPIを実現するための具体的な取り組みとしては、オープンソースプロジェクトとして始まった「libcloud」があることは、エントリ「「メタクラウドAPI」がオープンソースで登場」で紹介しました。

しかしこの分野でリードしているのは、なんと言ってもAmazonクラウドでしょう。すでにパブリッククラウドとしてAmazon EC2を提供している同社が先日発表したのが、Amazon Virtual Private Cloudです。Amazon EC2の一部をVPNで接続してプライベートクラウド化できるこのサービスを利用すれば、企業はパブリッククラウド、プライベートクラウドともに同じ操作、同じAPIでクラウドを管理することができます。

Amazonはプライベートクラウドをソフトウェアパッケージとしてではなく、サービスとして提供する戦略をとっているのです。

マイクロソフトも、Windows ServerとHyper-Vをベースとしたデータセンター向けのクラウド製品、そして企業向けのプライベートクラウド製品を構想中です。Windows Azureとのフェデレーションも視野に入れていますから、管理用の共通APIやツールなども揃えてくることでしょう。

ヴイエムウェアも、もちろんこの分野に最も注力しています。同社のVMware vSphereは企業のデータセンター内でプライベートクラウドを構築するために導入されてはいても、パブリッククラウドでは使われていませんでした。そこで同社は、VMware vSphereをベースとしたパブリッククラウドの展開をクラウドベンダに働きかけ、今後は数社がVMwareベースのサービス「VMware vCloud Express」をパブリッククラウドとして展開する予定になっています。

これによって、VMware vSphereのAPIはプライベートクラウドでも、パブリッククラウドでも利用可能になるため、企業は共通のAPIでどちらのクラウドも管理できるようになる、というわけです。

Citrixの傘下にあるオープンソースのハイパーバイザ「Xen」の開発プロジェクトXen.orgも、「Xen Cloud Platform(XCP)」イニシアチブを発表しています。ITmediaの記事によると、同プロジェクトは「Amazon EC2、Rackspace Cloud Servers、GoGridなどのクラウドプラットフォームと企業のプライベートクラウドの相互互換を可能にするオープンソースの仮想インフラ技術の提供を目指す」とのこと。

パブリッククラウドとプライベートクラウド(もしくはアウタークラウドとインナークラウド)は、シームレスに連係する方向に向かっています。そしてそこに共通するAPIを誰が作るのか? しばらくはさまざまな取り組みが乱立し、その後収束に向かっていくのではないでしょうか。

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